東京 賃貸の見せ所
前は駐車場を借りていたので、ガソリンスタンドでの洗車に頼っていた。
正確にはその料金を引かなければならない。
買ってくれば数十万というところから全室個別に温度設定可能な空調設備で数百万というところまで、おそらく3倍くらいの値段の開きがあったはずだ。
私は今回、そのなかほどで高級車一台分の投資を空調システムにしたのだが、5年、10年、子どもたちがみな大きくなるまでの環境に対する投資としては、ベンツを買うより安かったと納得している。
家とクルマ、どちらのほうによりお世話になり、どちらにより滞在時間が長いかという問題だ。
もっともこれは、人によって異なる感覚だろうけれど…。
さて、ガス代は、やはり春秋平均で3%アップ。
レンジが前の家では2口、いまの家は3口。
また、風呂の容量も3割方大きくなっていることが影響している。
細かな分析は紙面の関係で無理なので、大ざっぱな計算をしてみる。
前の家は、バブルの本格的な崩壊前の朗年に坪359万円で買った。
新築だったが駐車場がなかったので、近くに2万円でずっと借りていた。
いまの家は、借地権で土地を求め家を建てたのだが、借地権の購入額と、建物だけでなく外構・造園工事も含む工事総額を敷地面積で割って坪単価を求めると179万円になる。
付近の新築マンションの売買坪単価が254万〜316万円(8日で調査)だから、マンションを買うのとほとんど変わらない。
毎月地主さんに払う地代は駐車場2台分程度(都心に住んでいる人なら1台分)だから、メンテナンスのいいマンションの管理費を考えたら、それと同等の額ともいえる。
したがって我が家は、もしすぐに賃貸に出せば、年に少なくとも坪当たり3万円を生み出す資産価値があるといえる。
地代は坪当たり月660円程度なので無視できるとして、次に、非常に粗い投資リターン分析を試みてみよう。
坪179万円を投資して建てた家からリターンすることになるから、利回りは年に5.5%あることになる。
ローンの金利がこれ以下なら、経済的には割に合っている。
もっとも、他人に貸さないで自分の家族が使うわけだから、坪田万円分の幸福を享受する手段として、私自身がこの家を機能させられるかどうか、もっぱらこころがけの問題になってくる。
家を建てるときには、自分の予算いっぱいで、どれくらいの家が建つかを考える。
ふつう、私がここで試みた計算など、しないだろう。
このへんの分析は、やり方によって当然結果が異なるが、自分が納得できるように計算しちゃえばいいじゃないか、ともいえる。
コーポラティブでマンションを建てた記録「自分たちでマンションを建ててみた。
」かなり詳細な経済性の比較が載っているから、併せて参考にされたらよい。
ちなみに、著者のOさんちの駐車場代は、ターミナル駅に近いこともあって3万2000円。
マンションの管理費は7600円、自転車置き場の使用料が3台で900円、トランクルーム使用料が300円、修繕積立金が9000円だというから、合わせて4万9800円。
ちょうど、うちが払っている地代に近い額である。
しかし、これからの時代はデフレ傾向が強く、買った土地や建てた建物は、場所によっては資産的な目減りが激しくなる。
だから、この程度の計算をあらかじめしておいて、自分の建てる家はマーケットではいくらで取引されるのか、貸したらいくら賃料が入るのか、把握しておいたほうがよい。
ビジネスマンにとっても、なにもかも会社のお抱えという時代ではなくなって、自分の市場価値を常に意識しつつ、外の世界でナンボで売れるのかを確かめておくことが必要になってきた。
それと同じことが、自分が建てる家にもいえるはずだ。
はじめに基本設計を決めようとして、自分が建てる家のイメージを頭に浮かべる瞬間には、どんな敷地に建てる家でも、選択肢は無限にある。
おそらく、次の瞬間、あなたのイメージに浮かんでくるものが、おおざっぱにいって洋風のものか和風のものかそれ以外か。
それが一番はじめの分かれ道になるだろう。
鉄骨か、木質パネルか、ツーバイか、在来かというような工法の問題はさておくとしても、木の家に住みたいのか、コンクリートなどの木以外の材料に囲まれてモダンに暮らしたいのかも、大きな分かれ道だ。
ちなみに統計によると、1年に120万戸ほど建つ新築住宅の中で、木造を含む木質系住宅の割合は、依然として半分近くを占めている。
次には、おそらく家族構成や生活のあり方を反映して部屋の割り付けを行ない、敷地の道路付けから決まってくる玄関や駐車場の位置との関係で、間取りのイメージができる。
ここまででも、すでにあなたは、n個以上の重要な意志決定をしている。
「システムキッチン」「ユニットバス」「トイレ」でフラフラ?間取りがだいたい決まって、採光や通風面も配慮した窓や戸口(いわゆる開口部)の位置が決まったら、いよいよ設備面の検討に入る。
このとき、キッチンやバスルームなどを一から設計してオリジナルで作るのであれば、またしても眼前には、無限の選択肢の海が広がっていることになる。
我が家の場合、キッチン、バスルーム、洗面、トイレについては、前述したようにリーゾナブルな価格のメーカー品で、合理的な選択をすればいいと考えた。
さて、そのうち「システムキッチン」と「ユニットバス」と「トイレ」を例にとって、施主は一体どれほどのことを決めなければならないかを、ここに示してみよう。
実は、このほかにも細部に落ちてゆくと、いくつもの決定が必要になる。
たとえば、一扉のカラーとタッチの選択肢は、Y社の「Dシリーズ」だけでも万タイプあり、それとカウンタートップのカラー(人造大理石で2種5色)を組み合わせる。
キッチンの壁は、油などが飛ぶので普通の壁紙ではなく耐熱性に優れたキッチンパネルを使うから、このカラーにも6種の選択肢がある。
つまり、一扉とカウンタートップとキッチンパネルの組み合わせだけで5×6=2310通りあるということだ。
さらに、「水栓金具にハンドシャワーは付けますか?」「足元操作で水を出すタップスイッチは付けますか?」「浄水器はいかがですか?」「酸性水とアルカリ水を使い分けできるタイプもありますが?」「足元温風機はいかがいたしますか?」……と質問は続く。
はじめに気に入ったメーカーが決まっていたとしても、このように、ユニットバスの場合はどうだろう。
この場合でも、まず、特定のメーカーの、予算に合わせた、あるグレードのシリーズを選ぶことから始まる。
ここまででも、選択肢は主なシリーズだけで100種類以上あるだろう。
我が家の場合はタカラの「エルフェ・シリーズ」を選んだのだが、そこからの選択肢は以下のとおりだ。
まったくのオリジナルを目指すなら、楽に、この倍くらいの選択肢があるだろう。
ついでに、トイレひとつ選ぶとしても、こういう質問が来る。
そのほかに、細かいところでは、「換気乾燥機をつけて雨天時でも洗濯物を干せる場所を確保しますか?」「段差をなくしてバリアフリー仕様にしますか?」「手すりをどこに付けますか?」すこ「鏡は?」「費の子は?」「石鹸入れは?」と挙げていけばきりがない。
ここでも、主なものだけで、別項目はくだらない質問が用意される。
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